安定した電源供給あってこその仮想化基盤なのですが,ここ数年 UPS のケアをしっかり出来ていなかった(バッテリー交換くらいしかしてなかった)ので,自戒を込めて Firmware の Update をしてみました.
Update 対象機器の確認
最初に対象機器の情報を確認します.ラックマウント型の UPS はベゼルを外すとモデルナンバーが確認できます.今回の Firmware Update 対象は SMT3000RMJ2U です.
モデルナンバー以外にも,UPS ID が必要なので,コンソールで確認しましょう(モデルナンバーもコンソールから確認可能).
upsabout コマンド出力の Firmware Revision 欄に表示されています.現在の Firmware は 0.93 で UPS ID は 18 です.
apc>upsabout E000: Success Model: Smart-UPS 3000 SKU: SMT3000RMJ2U Serial Number: JXXXXXXXXXXX Firmware Revision: UPS 09.3 (ID18) (以下省略)
多くの方が使われているかと思いますが,実は私も Network Management Card (NMC) を使って管理 & 監視をしています.少し古い NMC 2 なのですが,まだ継続的に Firmware Update が提供されていて ( 現在 Ver. 7.1.8 ) ,TLS 1.2 接続で問題なく利用できています.Blog 映えもするので(苦笑)ここから先は NMC 経由で進めて行こうと思います.
NMC のメニューで "About" -> "UPS" からも同じ情報を参照できます.
Firmware の入手
続いて,Schneider Electric 社のサイトで Firmware のリリースノート( 2025 年 2 月 19 日時点 ) を参照します.
リリースノート中では,まず Latest Firmware Version Table 欄で適用可能な最新バージョンを確認します.先ほど確認しておいた機器情報をもとに,"UPS Series" が "SMT","UPS ID" の "18" の欄を探すと,最新バージョンが "UPS 15.0" であることがわかります.
Smart-UPS の製品情報ページを下へスクロールすると表示される "ソフトウェアとファームウェア" 欄から "ダウンロード用ファイル" のリンクを開き,SMT18UPS_15-0.enc を見つけたらダウンロードします.
Firmware をダウンロードすると,同じ画面上で md5 チェックサムを取得できるので,忘れずに確認しておきましょう.
% md5 SMT18UPS_15-0.enc MD5 (SMT18UPS_15-0.enc) = bb3463b792c463c7fdaab7159e1ace5a
もちろん,readme もダウンロードして修正内容を確認します.
9.5 で Fix されている Bad Battery 時の (Scheduled) Self-test,嫌な思い出があったのですが,早く適用しておけばよかった...
(省略) Release Notes (UPS09.5): ======================== 1. Improved consistency of the UPS transfer time stamp between the NMC event log and UPS transfer log. 2. Improved the ability of the UPS to support the load during self‐test if the battery is bad. (省略)
Update 実行
Update 実行前にもう一手間,電源 Output を On のまま Update が実行できるか確認をする必要があります.
チェックしてみると,残念ながら SMT3000 は Output を Off にしなければなりません.
ESXi が稼働するサーバー系や TOR Switch 等の主要な機器は PSU 冗長構成なので問題ないのですが,ONU やら小さなルーター等の電源冗長概念すらないデバイスも UPS に接続されているので,地味に面倒くさい.まぁ,多少のクレームは覚悟して進めていきます(苦笑).
Control -> Outlet Groups で全ての Group を Off Immediately します."Next" で画面を進めて Apply します.
"Home" メニューで Outlet Power が Off になった Alert が確認できます.これで事前準備は全て完了.
Configuration -> Firmware Update の画面で, "選択" をクリックして先ほどダウンロードしておいた SMT18UPS_15-0.enc を Upload したら,"Update UPS" をクリックします.
Update 実行が完了するまで数分待ちます.
無事に成功すると Web UI 画面の Current Version 表示が ID18UPS 15.0 に変わります.
最後に,Output を On にして作業完了です.( SMT3000 では Main と Group 1 を同時に On できないので,この手順を Outlet Group 1 にも同様に適用します.)
今回は v の字すら出てきませんでしたが,IT インフラにとっては重要な要素なので,みなさんも塩漬けのまま Bug を踏まないように注意しましょう.