★ 誤家庭への憧憬
逸般の誤家庭.なんと甘美な響き…
IT エンジニアの憧れですよね! VMUG でも逸般の誤家庭ネタではみなさん大いに盛り上がります.ところが,誤家庭の仲間入りを阻む要因を多く抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
例えば,私のケースだと以下のような状況です.
・原則出社でリモートワーク無し
コロナ禍ですら緊急事態宣言下以外の期間は全日出社(苦笑).
・平日は当然出社,土日祝日もメンテナンスやリプレース案件で出社
既に休日という概念が欠如してしまっています(苦笑).
・職場に軟禁
朝早くから出社しても定時で帰れることが非常に少ない(しかも残業支給対象外).「仕事の効率を上げろ!」と言われそうですが,自分の部署だけ効率化できてもアナログ万歳な組織だとなかなか帰れないのが現実です.ドライに割り切って帰ると,翌日に地獄を見たりします(苦笑).
つまり,圧倒的に誤家庭で過ごす時間が少ないのです.(それでも朝は 4:30 に起きてジムには行きます.体力無いと一人マウント作業辛いので...)
そんな社畜の同士のみなさま,さぁ「社畜クラウド」を立ち上げましょう!漢字だとイメージが良くないのであえてカタカナで「シャチク²ラウド」.略して「シャチクラ」です(笑).
★ シャチクラ適正
職場で過ごす時間が長いことに加えて,以下のような属性の方はシャチクラ適性が高いと考えています.
・独り情シス
情報基盤全般に広く深く(?)関わっている独り情シスは,仮想化基盤のみならず,ネットワークやストレージの設定も思うがまま.Lab 用サブネット用意したり,サブドメインを切り出したり出来るので,安定稼働している(というより,自分で安定稼働させているw)インフラの上で Lab を展開できます.(本番環境に依存しているので,障害にも敏感になれます.)
・オンプレ派
うちの組織は何故か OPEX を抑制する経営方針なので,クラウドサービスを使いづらい状況が長く続いています.しかしオンプレ中心だと一定のサイクルで機器更新があるので,保守切れでお役御免になった機器を処分しなければなりません.そう,もうお分かりですよね.これらのエンタープライズ向けハードウェアをシャチクラのリソースとして活用できるのです.
・アンチ データセンターな組織
今ではもう少数派になったと思いますが,ひと昔前は「面識の無い業者にサーバーを管理させるなどけしからん」的な意見が飛び交い,サーバーは敷地内縛りで設置が原則とされて,自家発電機や空調まで情シスマターになっていました.おかげさまで(笑)シャチクラ リソース機器操作のために外出する必要も無く,隙間時間で色々と楽しめます.オンプレ万歳です!
★ シャチクラの作り方
電力やラックスペースを消費するので,組織によってはコンプライアンス上好ましく無いと考える方も多いでしょう.ひとつの解決策としては,「大人の部活」として認めてもらうことです.検証結果を運用や新規サービスにフィードバック出来れば,部活以上の存在価値を組織に提供することが出来ます.
・ ハードウェア調達
前述した通り,各システムのライフサイクルは 4 〜 5 年くらいかと思います.これら一線を退いた 1 世代前のハードウェアの中から良品美品をかき集めて DIY すると,かなり贅沢な検証環境を整えることも可能です.
(リースで機器調達されている場合は返却しなければなりませんが,契約満了後の機器はかなり低価格で買取可能なケースもあります.)
* パーツ再活用例 その1 (リソース喰い VM 用ホスト)
本番環境では予算の関係で全てのメモリスロットを埋められないことがあったりしませんか?(うちだけかな?).そんなときは,お役御免になったサーバー群からメモリをかき集めると気持ちよく空きスロットを満たすことが出来ます.
以前から関心を寄せていた NetApp さんの BlueXP Classification は 2024 年 5 月から無償化されました.しかし,このサービスを利用するには最低でも Connector VM に 8 vCPUs, Memory 32GB と Classification VM に 16 vCPUs, Memory 64GB が必要です.一世代型落ちだとしても,潤沢なハードウェアで構成した vSphere 環境があれば,Classification の検証をするためのオンプレリソースとして十分活用することができます.
* パーツ再活用例 その2 (GPU)
旧 VDI 環境で活躍してくれた GPU も PCI Express x 16 スロットの空きさえ作ってしまえば T4 だと消費電力も少ないので PSU もそのまま使えます.
vSphere 環境では Dify VM を稼働させ,LLM は T4 を積んだベアメタルサーバーで稼働させると,7B くらいの日本語対応 LLM を使った RAG の環境が作れてしまいます.
・各種ライセンス
vSphere に関しては VMUG Advantage が利用出来ます.ライセンス ダウンロード前のアンケート項目に "Company Lab" での利用という選択肢もあったので本番環境での利用でなければ大丈夫.(ただし旧 Kivuto プラットフォームでの提供は 2024 年 11 月末で終了してしまったので,新しいプラットフォームで提供される評価ライセンスについては注意が必要かもしれません.一応,"Non-production, personal use" と記載があるので,"誤自宅"縛りでは無いと思います.)
また, VMware 製品以外の有償製品も評価ライセンスを入手する方法は色々あるので活用しましょう.独り情シスには重たい運用責任がのしかかってきますので,事前に色々触って本番運用時の勘所を掴むことが出来ればシャチクラの存在意義も高まると信じています.
・おわりに
誤自宅時間が持てない方は決して少数では無いと考えています.自由が無い,家族と会えないなどなど不平不満を言ったところで組織はなかなか変わりません.そんな苦労を背負ったままストレスを溜めるより,隙間時間を使い,身近に転がっているリソースを掘り出してみてください.社畜であることすら楽しみに変えることが出来るかもしれません!「私のシャチクラ自慢」大会が開催できるくらいの同士が見つかることを期待して,2025 年を楽しみに迎えたいと思います.
明日 12/08 は Masa Toyoda さんです! adventar.org